シラバス情報

科目名
図書館情報資源概論
担当教員名
石川 敬史
ナンバリング
学科
2021年度 大学 教育人文学部 文芸文化学科 日本語・日文コース 1年
学年
1年
開講期
2023年度後期
授業形態
講義
単位数
2.00単位

実務経験の有無
実務経験および科目との関連性
司書としての実務経験のある者が,近年の公立図書館政策や自治体の動向,図書館活動・実務,出版流通の傾向を踏まえながら指導する。

ねらい
①科目の性格
本科目は,司書課程必修科目(1年次配当),学校司書課程必修科目(1年次配当)である。図書館にはさまざまな資料が選択・収集・整理・保存(管理)されながら,各館独自にコレクションを形成(構築)し,利用者に情報が提供されている。本科目では,図書館コレクションを形成(構築)しているさまざまな図書館情報資源の種類,特質,流通等を広く概説し,図書館が情報資源を選択・収集・整理・保存(管理)する意義を考察し,利用者への提供方法をデザインする。
②科目の概要
本科目では,公立図書館を中心に,学校図書館,大学図書館,専門図書館の特性をも視野に入れつつ,図書館業務に必要な図書館情報資源の類型と特質,電子資料やネットワーク情報資源の動向を概説する。そして,図書館のコレクション形成を具体的に考え,利用者へ提供する方法をデザインする。
③授業の方法(ALを含む)
本科目では,講義による解説を中心とするが,図書館情報資源(図書館資料)の理解を深めるために,学生同士のミニグループワークや教員との双方向の質問などを取り入れ,学びを深めていく。基本的には,毎回の授業にてにリアクションペーパーを使用する。
リアクションペーパー/レポート/グループワーク
④到達目標
授業時の講義内容の理解とともに,受講者同士の議論やミニワークショップを行ない,他の受講生の意見や考えを踏まえながら,自らの意見や考えをまとめることができる。具体的には以下の点である。
1.図書館司書は実際に図書館資料をどのように選択・収集しているのかを理解し説明することができる。
2.図書館資料を選択,収集した後,利用者への効果的な提供方法を理解し説明することができる。
3.図書館資料の種類や特徴を理解する。特に,電子資料やネットワーク情報資源における今日的な動向を理解し説明することができる。
4.各図書館が形成したコレクションを評価し,学問分野別(人文,社会,科学・技術等)に情報資源の特性を理解し,図書館のコレクションを構築することができる。
⑤ディプロマ・ポリシーとの関係(右の資質・能力を育成することを目的とする)

第1回
事前学習
公立図書館に所蔵されている資料の種類を整理しておくこと(図書館の利用経験を踏まえながら)。可能であればこれらの資料を分類しておくこと。
90分
授業内容
オリエンテーション:「図書館資料」から「図書館情報資源」へ【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
[事後学修]授業で触れた教科書の範囲を通読すること。配布したプリント・資料類を用いて授業を振り返ること。
[次回事前学修]教科書を用いて,「ネットワーク情報資源」の定義や特徴について整理しておくこと。
180分
第2回
授業内容
図書館資料の類型を考える:「図書館資料」「図書館情報資源」の意義と歴史【リアクションペーパー】【グループワーク】
事後学習・次回事前学習
[事後学修]授業で触れた教科書の範囲を通読すること。配布したプリント・資料類を用いて授業を振り返ること。
[次回事前学修]自らの経験を踏まえながら,図書(紙媒体)の特徴と,電子書籍(電子資料・ネットワーク情報資源)との特徴とを比較しておくこと。
180分
第3回
授業内容
図書館資料の種類と特質(1):印刷資料の特徴と実際【リアクションペーパー】【グループワーク】
事後学習・次回事前学習
[事後学修]授業で触れた教科書の範囲を通読すること。配布したプリント・資料類を用いて授業を振り返ること。
[次回事前学修]公立図書館が所蔵する地域行政資料の種類について,教科書に基づきながら確認しておくこと。可能であれば教科書以外の参考文献を用いること。
180分
第4回
授業内容
図書館資料の種類と特質(2):印刷資料の類型,地域行政資料・灰色文献【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
[事後学修]授業で触れた教科書の範囲を通読すること。配布したプリント・資料類を用いて授業を振り返ること。
[次回事前学修]「図書館概論」の教科書や本科目の教科書を用いて,図書館に所蔵されている紙媒体ではない「図書館資料」(非印刷資料)の種類と排列方法を整理しておくこと。
180分
第5回
授業内容
図書館資料の種類と特質(3):非印刷資料の類型と特徴【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
[事後学修]授業で触れた教科書の範囲を通読すること。配布したプリント・資料類を用いて授業を振り返ること。
[次回事前学修]公共図書館や大学図書館のWebページから,図書館が提供するデータベース(図書館が契約している外部データベース)の種類について調査してまとめておくこと。
180分
第6回
授業内容
電子資料・ネットワーク情報資源の種類と特質【リアクションペーパー】【グループワーク】
事後学習・次回事前学習
[事後学修]授業で触れた教科書の範囲を通読すること。配布したプリント・資料類を用いて授業を振り返ること。
[次回事前学修]出版社から刊行される図書ではなく,図書館が刊行する資料の種類について,教科書を用いて整理すること(特に自然科学系の資料について)。
180分
第7回
授業内容
自然科学・科学技術・生活科学分野の情報資源の特性【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
[事後学修]授業で触れた教科書の範囲を通読すること。配布したプリント・資料類を用いて授業を振り返ること。
[次回事前学修]出版社から刊行される図書ではなく,図書館が刊行する資料の種類について,教科書を用いて整理すること(特に人文社会科学系について)。
180分
第8回
授業内容
人文学・社会科学分野の情報資源の特性【リアクションペーパー】【グループワーク】
事後学習・次回事前学習
[事後学修]授業で触れた教科書の範囲を通読すること。配布したプリント・資料類を用いて授業を振り返ること。
[次回事前学修]近年の本の売り上げの傾向について,新聞記事やWebニュースなどから資料・情報を収集し,概要を調べておくこと。
180分
第9回
授業内容
出版流通システムの特徴と図書館のかかわり:出版社・取次・再販制度等【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
[事後学修]授業で触れた教科書の範囲を通読すること。配布したプリント・資料類を用いて授業を振り返ること。
[次回事前学修]「図書館概論」の教科書に掲載されている「図書館の自由に関する宣言」について通読しておくこと(「図書館概論」の復習でもある)。
180分
第10回
授業内容
知的自由と図書館【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
[事後学修]授業で触れた教科書の範囲を通読する。特に「図書館の自由に関する宣言」は再び通読しておくこと。
[次回事前学修]教科書や参考文献に基づきながら,図書館における蔵書構築に与える社会的な影響について調べておくこと。
180分
第11回
授業内容
図書館のコレクション(1):コレクション構築の意義,構築のサイクル【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
[事後学修]授業で触れた教科書の範囲を通読すること。配布したプリント・資料類を用いて授業を振り返ること。
[次回事前学修]公立図書館における選書方針,資料収集方針について,Webページに基づきながら1館を対象に,その概要を調査しておくこと。
180分
第12回
授業内容
図書館のコレクション(2):収集方針,選書ツール,情報源,選書体制【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
[事後学修]授業で触れた教科書の範囲を通読すること。配布したプリント・資料類を用いて授業を振り返ること。特に,選書の方法や体制については,教科書を再度確認しておくこと。
[次回事前学修]公立図書館における除籍基準について,Webページに基づきながら1館を対象に,その概要を調査しておくこと。
180分
第13回
授業内容
図書館のコレクション(3):装備・展示・排架,保管,分担保存,除籍【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
[事後学修]授業で触れた教科書の範囲を通読すること。配布したプリント・資料類を用いて授業を振り返ること。特に,除籍基準のポイントについては教科書に基づきながら整理しておくこと。
[次回事前学修]図書館学の用語辞典を用いて共同保存書庫や分担収集の意味(定義)を調べると同時に,こうした実践をしている図書館(地域)を事前に調べておくこと。
180分
第14回
授業内容
図書館のコレクション(4):コレクション形成の評価・方法【グループワーク】【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
[事後学修]授業で触れた教科書の範囲を通読すること。配布したプリント・資料類を用いて授業を振り返ること。特にコレクションの評価方法について通読しておくこと。
[次回事前学修]図書館のコレクション構築(全体のサイクル)について,教科書と配布資料を通読し,質問や疑問を整理しておくこと。
180分
第15回
授業内容
まとめ【レポート】
事後学習
・図書館が収集するさまざまな資料の種類や排列方法を整理すること(教科書に基づきながら)。
・公立図書館としての社会的役割を,コレクション構築の視点から整理しておくこと。
・蔵書(コレクション)構築のサイクルについて,その意義や特徴について整理しておくこと。
180分

フィードバック
・毎回,コメントペーパーを配布する。コメントペーパーには,授業において気づきや学んだこと,質問事項などを整理すること。
・コメントペーパーの記載内容は,授業中に取り上げてコメントする。
・提出した課題は授業中にグループワーク等で活用する(口頭発表をし,助言をする)。
評価方法および評価の基準
授業中・後の課題(40%),授業への参画・発表(10%),試験(50%)とし,総合評価60点以上を合格とする。
到達目標(1):課題提出(10%/40%),参画・発表(0%/10%),試験(10%/50%)
到達目標(2):課題提出(10%/40%),参画・発表(0%/10%),試験(10%/50%)
到達目標(3):課題提出(10%/40%),参画・発表(0%/10%),試験(20%/50%)
到達目標(4):課題提出(10%/40%),参画・発表(10%/10%),試験(10%/50%)

教科書
書名
著者
出版社
ISBN
備考
図書館情報資源概論 新訂版
馬場俊明
日本図書館協会
フジショップで購入できます。
図書館情報学基礎資料
今まど子,小山憲司
樹村房
前期「図書館概論」の教科書と同じです。
推薦書・参考文献
下記以外の図書は授業中に提示します。
・安井一徳『図書館は本をどう選ぶか』勁草書房,2006(図書館の現場,5) 
・蛭田廣一『地域資料サービスの実践』日本図書館協会,2019(JLA図書館実践シリーズ41)
・内野安彦『ちょっとマニアックな図書館コレクション談義』大学教育出版,2015
・日本図書館情報学会研究委員会『情報の評価とコレクション形成』勉誠出版,2015
・野口武悟,植村八潮『図書館のアクセシビリティ:「合理的配慮」の提供へ向けて』樹村房,2016
・日本図書館協会障害者サービス委員会編『図書館利用に障害のある人々へのサービス』上巻・下巻,日本図書館協会,2018

履修上の助言、教員からのメッセージ
・司書課程履修者は,1年次に履修することが望ましい。
・『図書館情報学基礎資料』の教科書は前期の「図書館概論」と同じ教科書です。未購入の学生のみ,フジショップで購入してください。