シラバス情報

科目名
ケア論
担当教員名
大山 博幸
ナンバリング
NAb3070
学科
2021年度 大学 教育人文学部 文芸文化学科 日本語・日文コース 3年
学年
3年
開講期
2023年度前期
授業形態
講義
単位数
2.00単位

実務経験の有無
実務経験および科目との関連性
福祉相談食及びソーシャルワーカーとしての実務経験あり

ねらい
①科目の性格
対人援助職の基本姿勢、態度の形成を目的とし、支援を必要とする人々への基本的なとらえ方を理解することに関連する
②科目の概要
。また、ケアリングの理論とそれに関連する思想の理解を深める科目である。ケア及びケアリングの概念について理解を進め、対人援助職におけるケア及びケアリングの思想の意義を探求していくことをねらいとする。またケアリングと癒し(ヒーリング)の関連についても考察する
③授業の方法(ALを含む)
講義、グループワーク、ワークショップを用いる。
レポート/グループワーク
④到達目標
①ケアリング概念について説明することができ、それに対する自分自身の見解を述べることができる。
②ケアリング関係に生じる対人関係的問題(バウンダリー、共依存など)について、理解し説明することができ、それに対する自分自身の体験を踏まえた独自の見解を述べることができる。
③対人援助職におけるケアリングの意義を説明することができ、それに対する自分自身の内的価値を経由した見解を述べることができる。
⑤ディプロマ・ポリシーとの関係(右の資質・能力を育成することを目的とする)
NA②-2 健康問題への論理的思考・行動/NA②-3 相互理解と自己表現/NA③-3 社会における多様な人々との協働

第1回
事前学習
ケア及びケアリングの辞書的な意味について調べる(広辞苑、英和辞典等を使用する)
90分
授業内容
オリエンテーション
授業の概要
評価方法
事後学習・次回事前学習
ケア及びケアリングの辞書的な意味について調べる(広辞苑、英和辞典等を使用する)
180分
第2回
授業内容
ケアリングの定義、概念:ケアの語源から(ハイデガーの配慮概念、ロロ・メイの思想)、ケアに関連する概念(特に共感)
事後学習・次回事前学習
ロロ・メイのケアリング概念への言及部分を読む。
共感概念について調べ記述する。
180分
第3回
授業内容
メイヤロフのケアリング論:専心の意味(ケアの本質論)、8つの要素
事後学習・次回事前学習
ケアの8つの要素について整理する。
「他者とともにいる・いない」の自分自身の経験を記述する。
180分
第4回
授業内容
ノッティングスのケアリング論:共感概念との関連で
事後学習・次回事前学習
佐藤学の教育とケアについて言及したテキストを読むこと。
ロジャーズのクライエント中心療法について関連文献を読み整理すること。
180分
第5回
授業内容
ケアと共感:ロジャーズのカウンセリング論と思想
事後学習・次回事前学習
ロジャーズの自己実現傾向について調べ整理すること。
コフートの自己心理学について調べ整理すること。
180分
第6回
授業内容
ケアと共感:コフートの理論、神田橋の思想
事後学習・次回事前学習
他者にわかってもらえた経験について振り返り記述すること。
180分
第7回
授業内容
ケアと抱え:愛着理論、ビオンのコンテイニング
事後学習・次回事前学習
ケア関係でコンテナー-コンテインドによって結果生じる第三の価値とは何か、自分なりに考えてみること。
ボランティアとは何か調べておくこと。
180分
第8回
授業内容
ケアのネガティブな側面:負い目としてのケア、ボランティア撲滅宣言、ケアする人の英雄願望
事後学習・次回事前学習
負い目を経験したことがあれば思いだしそのエピソードを書いてみよう。
境界性人格障害について調べ整理すること。
180分
第9回
授業内容
ケアと共依存:依存症、嗜癖、アダルトチルドレン、境界性人格障害、
事後学習・次回事前学習
愛着障害について調べておくこと。
180分
第10回
授業内容
ケアと愛着障害:愛着障害の克服と支援、代理の安全基地としての支援者
事後学習・次回事前学習
メンタライゼーションについて調べ整理すること。
ターミナルケアとは何か、その定義を調べておくこと。
180分
第11回
授業内容
ターミナルケア:広井のターミナルケア論、キューブラ・ロスの思想、絵本から読み取る死の受容
事後学習・次回事前学習
キューブラロスの死の受容段階について調べ整理すること。
ミンデルのプロセスワークについて調べまとめること。
180分
第12回
授業内容
ターミナルケア:ミンデルのコーマワーク、北米仏教の思想とGRACEプログラム
事後学習・次回事前学習
ティクナットハンの仏教思想について調べ整理すること。
180分
第13回
授業内容
ケアする人の成長:モデルとしてのケア・癒し、ウィルバーの自己成長モデル、自己変容としての旅、
事後学習・次回事前学習
癒しとは何か、自分なりに調べ言及すること。
シルバスタイン『僕を探しに』を読んでその感想を書こう。
180分
第14回
授業内容
ケアする人の成長:英雄の旅(物語、神話、昔話、アニメ、漫画からの解釈)
事後学習・次回事前学習
「英雄の旅」に対応する作品、物語や昔話、(漫画やアニメでもよい)を調べてみること。
これまでの授業の資料を読み返しておくこと
180分
第15回
授業内容
まとめ
事後学習
この授業の本質的な質問について自分なりに回答してみること。
90分

フィードバック
授業中に行ったミニワークレポートの記述を授業内にフィードバックする。
評価方法および評価の基準
各授業回に行うミニレポート課題の取り組み(30%)、最終レポート課題(70%)で評価し60点以上を合格とする。
到達目標①:ミニレポート(10%/30%)、最終レポート(10%/70%)
到達目標②:ミニレポート(10%/30%)、最終レポート(30%/70%)
到達目標③:ミニレポート(10%/30%)、最終レポート(30%/70%)

教科書
推薦書・参考文献
ロロ・メイ『愛と意志』誠信書房
メイヤロフ『ケアの本質』ゆみる出版
広井良典『ケア学』医学書院
岡田尊司『愛着障害の克服』幻冬舎新書
西平直・中川吉晴『ケアの根源を求めて』誠信書房


履修上の助言、教員からのメッセージ
ケアには倫理的側面から深層心理的側面までまた教育、福祉、看護等で幅広く言及されています。自分に関心のあるテーマや課題をこの授業で発見してほしいと思います。