教員名 : 石川 敬史
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科目名
図書の文化
担当教員名
石川 敬史
ナンバリング
EDi4071
学科
2021年度 大学 教育人文学部 文芸文化学科 日本語・日文コース 2年
学年
2年
開講期
2023年度前期
授業形態
講義
単位数
2.00単位
実務経験の有無
有
実務経験および科目との関連性
司書としての実務経験のある者が,近年の公立図書館政策や自治体の動向,図書館活動・実務,出版流通の傾向を踏まえながら指導する。
ねらい
①科目の性格
本科目は文芸文化学科専門選択科目であると同時に司書課程選択科目でもあるため,全学科の学生(2年生以上)に開放されている。本科目では図書をはじめとする多様なメディアの形態,生産(印刷),普及,流通の特徴について,現在との比較を通して,歴史的視点から理解する。さらに,メディアを活用した人々(読者)の目的や文化,メディアが所蔵(所有)される意味を検討しながら,国内外における図書館の歴史的発展を考える。
②科目の概要
図書を中心とするメディアの生産,普及,利用の歴史を踏まえながら,国内外を含む図書館の歴史的発展と社会的役割について考える。とりわけ,図書を活用する場が形成されることにより、人々が集まる場が形成され、新たな活動へと展開した。図書と人との関わりを辿ることにより,図書と図書館の本質を考え,現代社会における図書の意義を探究する。
③授業の方法(ALを含む)
本科目は,講義による解説を中心にしつつも,受講生同士のグループワークや制作,制作物の発表(共有)などを通して,「図書の文化」の理解を深めていく。
リアクションペーパー/レポート/グループワーク/プレゼンテーション/創作、制作
④到達目標
1.図書,メディアのと図書館の歴史について,読者の視点から歴史的連続性を説明することができる。
2.社会的装置である「図書館」の成立と社会的背景について,説明することができる。 3.身近な地域の図書館の歴史,記録メディアの創作とその価値を説明することができる。 ⑤ディプロマ・ポリシーとの関係(右の資質・能力を育成することを目的とする)
ED②-3 比較文化的考察/ED②-4 芸術・文化に関する表現技法/ED③-3 価値観の創造、発信
第1回
事前学習
紙媒体である本の長所と短所を整理し,本の定義を確認しておくこと(辞書や文献を参考にしながら)。
90分
授業内容
オリエンテーション:図書と図書館を歴史的視点から学ぶ意義【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
[事後学修]授業で配布したプリント,資料を通読すること。特に,本の定義に必要な事項を整理しておくこと。
[次回事前学修]図書の歴史(記録メディアの歴史)について,参考文献を用いながら時系列的に整理しておくこと。 180分
第2回
授業内容
記録メディアの歴史(1):現在の記録メディアから過去をみる【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
[事後学修]授業で配布したプリント,資料を通読すること。文献等を参照しながら,記録メディアの歴史を確認・整理すること。
[次回事前学修]図書の歴史に関する本(参考文献)を読み,図書の歴史の流れと特徴,社会的背景を整理しておくこと。 180分
第3回
授業内容
記録メディアの歴史(2):紙以前の記録メディア,図書館の形態史【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
[事後学修]授業で配布したプリント,資料を通読すること。再度「本」(図書)の構成要素を振り返り,まとめておくこと。
[次回事前学修]新聞や雑誌の長所,短所についてまとめておくこと(司書課程履修者は司書課程で使用した教科書を用いること。未履修者は参考文献を用いること。)。 180分
第4回
授業内容
記録メディアの歴史(3):大量印刷の時代,新聞・雑誌の歴史【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
[事後学修]授業で配布したプリント,資料を通読すること。印刷の歴史について,参考文献をもとに振り返ること。
[次回事前学修]CIE映画(ナトコ映画)の概要や用語,映画タイトルについて,調べることができる範囲にて整理しておくこと(文献やWebから)。 180分
第5回
授業内容
記録メディアの歴史(4):近代のマスメディア,メディアの多様化【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
[事後学修]授業で配布したプリント,資料を通読すること。これまでに授業で触れた図書をはじめとするメディアの歩み(歴史)を時系列的に復習しておくこと。
[次回事前学修]日本国内の図書館の起源(歴史)について,図書館所蔵の関連文献(基礎文献,教科書類など)を用いながら時系列的に整理しておくこと。 180分
第6回
授業内容
図書館の源流:古代・中世の図書館と文化【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
[事後学修]授業で配布したプリント,資料を通読すること。図書館学関係の用語辞典やハンドブックから,授業で取り上げた用語の意味を確認すること。
[次回事前学修]アメリカにおける図書館の起源や社会的背景について,図書館所蔵の関連文献を用いながら調べておくこと。 180分
第7回
授業内容
公共図書館の成立:近世・近代の図書館【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
[事後学修]授業で配布したプリント,資料を通読すること。特に「公立図書館」の原則を復習しておくこと。
[次回事前学修]図書館所蔵の文献などから「図書館令」について,概要と特徴を調べておくこと(司書課程履修者は,司書課程の教科書から調べること)。 180分
第8回
授業内容
日本図書館史(1):前近代の図書館,近代図書館の誕生【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
[事後学修]授業で配布したプリント,資料を通読すること。日本の図書館の成立と英米の図書館の成立について,その違いを復習しておくこと。
[次回事前学修]Webから「プランゲ文庫」の概要について調べ,どのような資料があるのか,各自で整理しておくこと。 180分
第9回
授業内容
日本図書館史(2):戦時体制下・占領期の図書館【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
[事後学修]授業で配布したプリント,資料を通読すること。可能であれば,図書館に所蔵している戦後公共図書館史に関する文献(1冊,もしくは該当箇所)を読んでおくこと。
[次回事前学修]本の販売数について,戦後から現在までの大まかな数値を調べておくこと(図書館所蔵の関連文献から)。 180分
第10回
授業内容
読書・読者史(1):読書普及運動,PTA母親文庫【グループワーク】【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
[事後学修]授業で配布したプリント,資料を通読すること。読書運動(読書普及運動)の具体的事例,長所と短所を整理しておくこと。
[次回事前学修]Webや関連図書などから,「石井桃子」の略歴や活動について,調べておくこと。 180分
第11回
授業内容
読書・読者史(2):『市民の図書館』と地域・家庭文庫運動【リアクションペーパー】【グループワーク】
事後学習・次回事前学習
[事後学修]授業で配布したプリント,資料を通読すること。可能であれば『市民の図書館』(日本図書館協会)を読んでおくこと。
[次回事前学修]Webや関連図書,新聞記事などから,「ふだん記運動」とはどのような活動か,事前に調べておくこと。 180分
第12回
授業内容
「記録」と「記憶」:記録をつくる意義 ・「現場」を視る【リアクションペーパー】【レポート】
事後学習・次回事前学習
[事後学修]授業で配布したプリント,資料を通読すること。オーラルヒストリーやデジタルアーカイブの意義についてまとめておくこと(復習)。
[次回事前学修]図書館に関する用語辞典を用いて,「読書運動」「読書普及運動」「読書会」の用語の定義や具体的な事例を調べておくこと。 180分
第13回
授業内容
地域の図書館史・読書運動史の調査【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
[事後学修]授業で配布したプリント,資料を通読すること。
[次回事前学修]受講生とともに文集を制作する予定であるため,執筆内容を検討すること(テーマは授業時にお知らせします)。 180分
第14回
授業内容
創作・演習:文化をつくる「図書づくり」へ【創作・制作】【プレゼンテーション】
事後学習・次回事前学習
[事後学修]授業で配布したプリント,資料を通読すること。受講生とともに制作した文集を通読すること(配布予定)。
[次回事前学修]これまで授業で扱ったプリントを通読し,振り返りをすること(図書の歴史,図書館の歴史,読書運動の歴史を中心に)。 180分
第15回
授業内容
まとめ【レポート】
事後学習
・図書の歴史,図書館の歴史,読書運動の歴史に関する文献を読み,本科目の授業内容を復習すること。
・「図書とは何か」を,メディアの歩みを背景にしながら,(授業で配布した資料や授業内容を踏まえながら)自分の言葉でまとめておくこと。 180分
フィードバック
・毎回,コメントペーパーを配布する。コメントペーパーには,授業において気づきや学んだこと,質問事項などを整理すること。
・コメントペーパーの記載内容は,授業中に取り上げてコメントする。 ・提出した課題は授業中にグループワーク等で活用する(口頭発表の後,助言をする)。 評価方法および評価の基準
授業中後の課題(40%),授業への参画・発表(10%),試験(50%)とし、総合評価60点以上を合格とする。
目標1:課題(10/40),参画発表(0/10),試験(10/50) 目標2:課題(15/40),参画発表(5/10),試験(20/50) 目標3:課題(15/40),参画発表(5/10),試験(20/50) 教科書
推薦書・参考文献
教科書は特に指定しない。
下記の参考文献以外は,授業中に提示する。 ・奥泉和久『近代日本公共図書館年表』日本図書館協会,2009 ・水越伸『21世紀メディア論』改訂版,放送大学教育振興会,2014 ・石井桃子『新編子どもの図書館』岩波書店,2015 ・和田敦彦『読書の歴史を問う:書物と読者の近代』笠間書院,2014 ・樺山絋一『図説本の歴史』河出書房新社,2011 ・金高謙二『疎開した四〇万冊の図書』幻戯書房,2013 ・高橋樹一郎『子ども文庫の100年:子どもと本をつなぐ人びと』みずす書房,2018 履修上の助言、教員からのメッセージ
・本科目は課題が多いのでしっかりと取り組むこと! 作成した課題はできるだけ受講生のみなさんと共有する予定です(グループワーク等により)。
・本科目は,司書課程の選択科目としても位置付けられています。 |