シラバス情報

科目名
聴覚障害教育概論
担当教員名
信方 壽幸
ナンバリング
EBd3042
学科
2021年度 大学 教育人文学部 児童教育学科 3年
学年
3年
開講期
2023年度後期
授業形態
講義
単位数
2.00単位

実務経験の有無
実務経験および科目との関連性

ねらい
①科目の性格
専門科目である特別支援教育分野の選択必修科目
②科目の概要
(1)聴覚障害の生理・病理を理解する。
(2)現在の聴覚障害教育の制度と教育課程、個別の教育支援計画や個別の指導計画について学ぶ。
(3)聴覚補償やコミュニケーション方法の在り方、聴覚障害児の指導の実践例を学ぶ。
(4)早期からの教育と就学相談、保護者支援について学びを深める。
(5)聴覚障害教育の歴史的変遷と動向を学び、現在の障害者差別解消法に基づく合理的配慮の在り方について考える。
③授業の方法(ALを含む)
座学に加え、映像や特別支援学校(聴覚障害)で実際に使用している教材・教具を使った体験学習、グループワークやディスカッションを取り入れた授業を行う。
毎回、簡単な手話学習も行う。授業の最後にはリアクションペーパーに「感想と質問」を記述する。
リアクションペーパー/実技、実験/レポート/グループワーク/ディスカッション/レポート(表現)
④到達目標
(1)聴覚障害教育の基礎的な知識と、聴覚障害の特性に配慮した指導法の基礎を習得し、小学校等に在籍する聴覚障害のある児童・生徒に対する豊かな指導ができる。
(2)聴覚障害児をもつ保護者の心情を理解した、学級経営を行うことができる。
(3)聴覚障害児の進学・就労に際し、関係機関と連携して正しい情報を提供し、適切な進学・就労相談ができる。
⑤ディプロマ・ポリシーとの関係(右の資質・能力を育成することを目的とする)
EB①-4 教材研究、学習指導案作成/EB②-4 子ども理解/EB②-5 指導技術、子どもの関心・意欲喚起

第1回
事前学習
これまでの経験をもとに、聴覚障害とはどのような障害かを考えておく。
90分
授業内容
オリエンテーション:講義内容を学び、聴覚障害児のDVDを視聴して、聴覚障害のイメージをもつ。【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
事後学習:聴覚障害について気付いたことをまとめる。
次回事前学習:聴覚障害の特性や原因を調べておく。
180分
第2回
授業内容
聴覚障害の定義・原因・分類
聴覚障害の定義と原因を理解するとともに、分類の仕方について学ぶ。【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
事後学習:感音性難聴、伝音性難聴、混合性難聴の特徴をまとめる。
次回事前学習:ヨーロッパにおけるルネサンス以前の聴覚障害者の生活について調べておく。【リアクションペーパー】
180分
第3回
授業内容
聴覚障害教育の歴史:世界
欧米の聴覚障害教育の歴史について学び、コミュニケーション指導の考え方の変遷から、現在の聴覚障害教育の在り方を考える。【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
事後学習:欧米における聴覚障害児教育の変遷をまとめる。
次回事前学習:江戸時代の聴覚障害者の生活の様子を調べておく。
180分
第4回
授業内容
聴覚障害教育の歴史:日本
日本の聴覚障害教育の歴史について学び、コミュニケーション指導の考え方の変遷から、現在の聴覚障害教育の在り方を考える。【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
事後学習:わが国における聴覚障害教育の明治以降の基礎的な歴史の流れを整理する。
次回事前学習:聴覚障害はどのようにして発見されるかを調べておく。
180分
第5回
授業内容
聴覚障害の早期発見と保護者支援
新生児聴覚スクリーニングや乳幼児教育相談について学び、聴覚障害児をもつ保護者の心情を理解する。【ディスカッション】【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
事後学習:新生児聴覚スクリーニングの検査方法を理解し、聴覚障害の確定診断がされた乳児を持つ保護者の心情について考える。
次回事前学習:聴覚障害児は、どのような場で教育を受けているか調べておく。
180分
第6回
授業内容
聴覚障害教育の制度と就学
聴覚障害児は、どのような場で学び、どのような支援を受けているかを学ぶ。【ディスカッション】【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
事後学習:学校教育法施行令第22条の3等における就学先決定のための障害の程度を理解し、就学先は、聴覚障害の程度によって、特別支援学校(聴覚障害)や小・中学校の難聴学級、通級による指導等、多様な選択肢があることを整理する。
次回事前学習:教育課程とは何かを確認しておく。
180分
第7回
授業内容
聴覚障害教育の教育課程
特別支援学校(聴覚障害)や難聴学級、通級による指導の教育課程、個別の教育支援計画、個別の指導計画について学び、個別の指導計画に基づく教材作成や指導例を学ぶ。【グループワーク】【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
事後学習:特別支援学校の教育課程の特徴(準ずる教育課程、知的代替の教育課程、自立活動を主とした教育課程など)を整理する。
次回事前学習:聴覚補償をするために、どのような機器があるか調べておく。
180分
第8回
授業内容
聴覚障害教育の実際①聴覚補償
聴覚補償のために聴力検査、補聴器・人工内耳、集団補聴システムについて学ぶ。【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
事後学習:発達段階に応じた聴力検査法、オージオグラムの読み方や補聴器管理の在り方をまとめておく。
次回事前学習:聴覚障害者のコミュニケーション方法について調べておく。
180分
第9回
授業内容
聴覚障害教育の実際②コミュニケーション方法
聴覚口話法、キュード・スピーチ、指文字・手話等、多様なコミュニケーションについて実技を通して学ぶ。自分の名前を手話と指文字で表し、自己紹介ができるようになる。【実技】【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
事後学習・それぞれのコミュニケーション手段の長所や短所を整理する。
次回事前学習:聴覚障害児への発音・発語指導はどのように行われているかを調べておく。
180分
第10回
授業内容
聴覚障害教育の実際③言語指導
聴覚障害児に対する発音・発語指導や語いを拡充するための指導方法を実技を通して学ぶ。【実技】【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
事後学習:母音や子音の発音指導法や語いを拡充するための指導の工夫について整理する。
次回事前学習:聴覚障害の特性に応じた指導上の配慮点にはどのようなものがあるか調べておく。
180分
第11回
授業内容
聴覚障害教育の実際④指導上の配慮事項
授業の際の聴覚障害に配慮した指導の配慮点や工夫について学ぶ。【グループワーク】【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
事後学習:聴覚障害児に対する指導上の配慮事項を小レポートにまとめる。
次回事前学習:個別の教育支援計画、個別の指導計画について調べておく。
180分
第12回
授業内容
聴覚障害教育の実際⑤個別の教育支援計画と個別の指導計画
個別の教育支援計画と個別の指導計画の違いを理解し、事例をもとに個別の指導計画の一部を作成する。【実技】【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
事後学習:個別の教育支援計画と個別の指導計画の違いをまとめる。
次回事前学習:聴覚障害児の就労先について調べていく。
180分
第13回
授業内容
聴覚障害児の進路
特別支援学校(聴覚障害)高等部や高等学校を卒業した後の進学先や進路について学び、合理的配慮について考える。【ディスカッション】【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
事後学習:大学や就労先での聴覚障害者へのかかわり方についてまとめる。
次回事前学習:手話言語条例について調べ、聴覚障害に対する合理的配慮の在り方について考えていく。
180分
第14回
授業内容
聴覚障害教育に関する今日的課題
これまでの講義を振り返り、現在における聴覚障害教育の課題についてグループで考えをまとめ、ディスカッションをする。【ディスカッション】【リアクションペーパー】
事後学習・次回事前学習
事後学習:小学校において難聴児を担任した際の担任としての在り方をまとめる。
次回事前学習:これまでの講義を振り返り、試験対策をしておく。
180分
第15回
授業内容
まとめ
講義のまとめを行う。
事後学習
全体の講義を振り返り、これからの聴覚障害教育の在り方を考える。
90分

フィードバック
毎回、リアクションペーパーに講義の感想や質問を記入する。質問については、次回講義で解説する。
毎回の次回事前学習の課題については、講義の導入時に調べたことを聞く。
評価方法および評価の基準
定期試験70%、ミニレポート20%、授業態度10%
60%以上を合格とする。
各到達目標の評価割合は下記の通りとする。

到達目標(1) 定期試験20%/70%、ミニレポート5%/20%、授業態度3%/10%
到達目標(2) 定期試験20%/70%、ミニレポート5%/20%、授業態度3%/10%
到達目標(3) 定期試験30%/70%、ミニレポート10%/20%、授業態度4%/10%

教科書
書名
著者
出版社
ISBN
備考
毎回自作の講義資料を使用
毎回自作の講義資料を配布
推薦書・参考文献
特別支援学校小学部・中学部学習指導要領:文部科学省
特別支援学校小学部・中学部学習指導要領解説
障害のある子供の教育支援の手引:文部科学省
特別支援教育の基礎(大学図書出版)
聴覚障害教育の手引ー言語に関する指導の充実を目指してー文部科学省(ジアーズ教育新社)
聴覚障害児教育の専門性を身につけるための指導者用教材(NPO大塚クラブ Web公開)
難聴児童生徒へのきこえの支援−補聴器・人工内耳を使っている児童生徒のために−(財団法人日本学校保健会 Web公開)
聴覚障害者の心理臨床② (日本評論社),
聴覚障害教育これまでとこれから(北大路書房)
耳の不自由な人をよく知る本(合同出版)

履修上の助言、教員からのメッセージ
どの学校にも特別な教育的ニーズのある児童・生徒が在籍している。聴覚障害教育を学びながら、障害のある子供を持つ保護者の心情を理解し、障害特性に応じた児童・生徒への指導や支援の在り方を学んでもらいたい。