シラバス情報

科目名
総合科目(家族とライフステージ論(未来の家族とキャリア形成))
担当教員名
狩野 浩二
ナンバリング
学科
2021年度 大学 人間生活学部 食物栄養学科 1年
学年
1年
開講期
2023年度前期
授業形態
講義
単位数
2.00単位

実務経験の有無
実務経験および科目との関連性

ねらい
①科目の性格
 編集者、広告代理店、結婚カウンセラーなど、さまざまな分野で活躍している大屋優子さん((株)ロックビレッジ)にご協力をいただき、実現することができました。詳しくは、第1回目の講義の際にお話しします。教育課程の位置づけとしては、共通教育科目ですので、各学部、各学科に共通した科目として運営します。どの専門にも共通する社会人として必要となる資質や能力を養うことを目的としています。
②科目の概要
 現代に生きる皆さんがこれから直面する人生の節目で乗り越えていく必要のある課題を想定し、それらを乗り越えるための基礎・基本を考えます。女性の人生に光をあて、学生時代だからこそ考えられる、ほんものの生きる力を養います。人生は一回限り、そのたった一回の人生をどのように生きていったら良いのか、人生の先輩である大屋優子さんからそのお仕事や生活を通じて得たさまざまな知見を存分に紹介していただきます。
③授業の方法(ALを含む)
 大屋優子さんによる講話を中心とします。大屋さんから具体的な事例が提起され、それについて皆さんならどうするかを考える場面が多くあるでしょう。講義ごとに振り返りの文章を書き提出します。その内容をもとに、講話が展開すると思います。必要に応じて、グループワーク、ディスカッション、ケースメソッドなどをまじえて展開する予定です。
リアクションペーパー/グループワーク/ディスカッション/ロールプレイ・模擬授業/ケースメソッド
④到達目標
・講話を通じて、人間の生き方、人生の切り拓き方についての思考を深めることができる。
・講話を聴講する学生同士で、意見を交流し、それぞれの意見に耳を傾け、自己の理解を更新することができる。
・講話を聞いた上で、リアクションペーパーを書き、自己の理解を日本語の文章として結晶化することができる。
⑤ディプロマ・ポリシーとの関係(右の資質・能力を育成することを目的とする)
NE⑥-1 現代社会理解/NE⑥-4 未来を創造する力/NE⑧-1 キャリアデザイン力

第1回
事前学習
シラバスを読み、若者・青年の自立に関する内容に関するアンテナを鋭敏にし、マスコミ等に登場する本講座内容に近接する資料を収集し、読みとる。
90分
授業内容
イントロダクション シラバスの解説を行い、担当教員と寄付講座を提供して下さる(株)ロックビレッジの大屋優子さんから、自己紹介やこの講座の特色などをお話しいただく予定。講義計画もこの機会に紹介する。
事後学習・次回事前学習
講義を聴き、シラバスを改めて読み返すとともに、この講座を履修するかどうかを検討する。履修を決定した際には、初回で紹介された内容を整理し、補充的に関連する情報を集めるなどし、これから展開される若者・青年の生き方について、深く考えておく。講義の際に提出したリアクションペーパーについては、その内容を省察し、次回講義に備える。
90分
第2回
授業内容
結婚するかしないか〜生涯未婚率が上昇する日本 日本と諸外国の事情を比較し、なぜ日本では、結婚する人が減少しているのかを考察する。その背景には、歴史や文化、政治状況などがさまざまにからみあっており、解決のためには、さまざまな工夫があることを学ぶ。
事後学習・次回事前学習
講義を振り返り、内容を整理するとともに、自ら執筆したリアクションペーパーの内容を省察する。講義で配付されたスライド資料等を見返し、そこで紹介された資料にあたるなどし、結婚に関する歴史や文化、地域や社会により異なる習慣などについて、考察する。特に、フランスの事情については、関連する映像や文字資料など、ドキュメンタリーやノンフィクションなどを参照し、理解を深めることが望ましい。
180分
第3回
授業内容
男女の出会いの場〜マッチングアプリと結婚相談所 社会問題となっている出会い系サイトがICT技術の開発・普及により、さらに身近なものとなり、深刻な影響を若者たちに与えている。その実情を知るとともに、伝統的に存在する結婚相談所の成り立ちについて理解し、そこで行われるケアなどの事実を学び取り、若者・青年の自立や人間形成の在り方を考察する。
事後学習・次回事前学習
講義を振り返り、内容を整理するとともに自分が執筆したリアクションペーパーの内容を省察する。ICTの開発と普及は、便利さを高める一方で、危険性をはらんでいることを理解し、その実情についてさまざまな資料を参照しつつ、考察する。講座で提供される資料を手がかりに、関連する資料を渉猟するなどし、関心を深める。
180分
第4回
授業内容
結婚のしきたりやマナーあれこれ〜結婚にかかるお金 人類は古代社会からずっと結婚という儀礼により、家族を構成し、次世代を養ってきた。このことによって、人類が今日まで気の遠くなるような時代を経て、この地球上に繁栄してきた事実を知り、今日の結婚やそもそも結婚式とはなにか、結婚披露宴とは何かについて考察する。結婚にまつわるさまざまな業界についても知ることにより、今後の生き方への指針を得る。
事後学習・次回事前学習
講義を振り返り、内容を整理するとともに、リアクションペーパーの内容を省察する。講座で紹介されたさまざまな業界について資料を渉猟するなどし、現実に動いている人びとの心性について知る手がかりを得る。関連するドキュメンタリー作品やノンフィクション作品などにも関心をもち、事実に学ぶ姿勢を獲得していく。
180分
第5回
授業内容
どんな結婚をしたいか〜夢見るウエディングスタイルを考えよう 結婚式の挙式や披露宴など、受講生たちがすでに経験していたり、これから経験するであろうことがらについて、それらの成り立ちや今後の在り方を知る。このことを通して、結婚式ということが人生のハレの行事として連綿と続いてきた事実を知り、その価値や意義について考察する。
事後学習・次回事前学習
講義を振り返り、内容を整理するとともに、リアクションペーパーの内容を省察する。特に、結婚というキーワードで、日本民俗学や文化人類学、社会学などの学問分野で追究されてきた、人間のハレの行事の意義や価値を深く考察するとともに、これからの時代の在り方を考える。関連する資料を渉猟するなどし、関心を深める。
180分
第6回
授業内容
ウエディング業界で仕事をしてみたい方〜業界のお仕事とウエディング業界に就職するには 結婚を巡って、さまざまな産業が創出され、一定の社会を構築してきている事実を知り、そうした世界においていかなる価値が追究されてきたのかを考察する。そのことを通して、自己の生き方を省察したり、これからの人生を考えたりする機会を得る。
事後学習・次回事前学習
講義を振り返り、内容を整理するとともに、リアクションペーパーの内容を省察する。特に、結婚を巡るさまざまな仕事の存在について、講義で提供された資料をもとに、関連する資料を渉猟するなどし、関心を深める。
180分
第7回
授業内容
男性学〜後悔しないパートナーの選び方 これからの時代の生き方は、一人で生きる、パートナーと共に生きるなど、多様な在り方が存在するが、しかし、人類の歴史においては、パートナーと共に生きる生き方が社会を支え、この地球における人類の存続に深く関わってきている。こうした事実を通じて、パートナーと共に生きるということの意義や価値を考察する。
事後学習・次回事前学習
講義を振り返り、内容を整理するとともに、リアクションペーパーの内容を省察する。特に、パートナーと共に生きる生き方について、自己の性自認に基づいて考察を深める。さまざまなドキュメンタリー作品やノンフィクション作品などから、理解や関心を深めたり、関連する資料を渉猟するなどし、自己の生き方を考える機会を得る。
180分
第8回
授業内容
受験と終活と婚活と〜人生の節目のライフステージ 人間の生き方において、さまざまな節目となる行事(ハレの行事)がある。それらは、歴史的に形成されてきたものであり、人類の存続に強く影響を与えてきた要素である。それらの成り立ちや過程、意義や価値を知るとともに、なかでも「婚活」を学ぶ場がどこにもないのはなぜなのか。いかにして「婚活」を学ぶべきなのか。「婚活」学は成立するのかについて考察する。
事後学習・次回事前学習
講義を振り返り、内容を整理するとともに、リアクションペーパーの内容を省察する。特に、人生の節目となる行事について、関連する資料を渉猟するなどし、関心を深める。身近な家族や親戚、地縁などへのアクセスを通じて、自分が誕生し、成長したプロセスについて情報を得たり、自分のこれからの人生設計について考察を深めたりする。
180分
第9回
授業内容
結婚カウンセラーというお仕事 大屋優子さんは、結婚相談所を経営され、日々、結婚カウンセラーとして活躍している。そもそも、結婚相談所とは、いかなる組織で、いかなる活動をしているのか。受講生の既成概念や先入観を打破しつつ、これからの時代に必須となる仕事について理解する。
事後学習・次回事前学習
講義を振り返り、内容を整理するとともに、リアクションペーパーの内容を省察する。特に、結婚相談所という存在について、講座で紹介された関連する資料を渉猟するなどし、関心を深める。
180分
第10回
授業内容
集英社刊『余計なお世話をいたします』(大屋優子執筆)より 大屋優子さん近著から、いくつかの事例を知り、将来設計について考える機会とします。
事後学習・次回事前学習
講義を振り返り、内容を整理するとともに、リアクションペーパーの内容を省察する。特に、講座で紹介されたテキストを読んだり、関連する資料を渉猟するなどし、関心を深める。
180分
第11回
授業内容
未来のキャリア形成〜共働きはあたりまえ 今日のパートナーとの生き方において、共働きということは普通のことになりつつある。こうした事実から、かつての「家」制度に見られるパートナーとの生き方と比較し、これからの時代の人生設計について考察する。
事後学習・次回事前学習
講義を振り返り、内容を整理するとともに、リアクションペーパーの内容を省察する。特に、封建制時代や封建遺制といってよい時代において「家」制度が存続し、そのもとでパートナーがどのように生き方をつくってきたのか、これからの時代は、新たな人間関係を構築するために、いかなる職業観をもち、いかに生きていったら良いのかを、関連する資料を渉猟するなどし、関心を深める。
180分
第12回
授業内容
幸せはプラス査定が鍵になる 社会のなかで生きていく上では、マイナス思考からの脱却が必要と言われるが、それはなぜか。プラス思考をすすめるためには、いかなる学修を深めていく必要があるのかを学ぶ。
事後学習・次回事前学習
講義を振り返り、内容を整理するとともに、リアクションペーパーの内容を省察する。特に、プラス思考を展開するための方法について、講座で紹介された資料を読み返したり、関連する資料を渉猟するなどし、関心を深める。
180分
第13回
授業内容
講座のまとめと省察 これまでの講座内容を振り返り、人間の生涯の生き方、暮らし方について考察するとともに、今後の生き方を考える。講座を提供して下さった(株)ロックビレッジの大屋優子さんとともに懇談する。
事後学習・次回事前学習
講義を振り返り、内容を整理するとともに、リアクションペーパーの内容を省察する。特に、懇談の場で話題となったことがらについて、関連する資料を渉猟するなどし、関心を深める。
180分
第14回
授業内容
若者の自立と青年〜モラトリアムは、なぜ発生したのか 講座を企画した狩野が自己の経験を踏まえて、若者、青年期の自立やモラトリアムの過ごし方、その後の人生設計について話題提供する。
事後学習・次回事前学習
講義を振り返り、内容を整理するとともに、リアクションペーパーの内容を省察する。特に、講義中に紹介する若者組、娘組などの習俗へ関心を深めるとともに、関連する資料を渉猟するなどし、自己学修を習慣化させる。
180分
第15回
授業内容
共同体社会の子育ての習俗に学ぶ 講座を企画した狩野が共同体における子育てについて話題提供する。例えば、沖縄においては、青年団という組織が今日も社会のなかで活躍し、年中行事の運営などに中心的な役割を持つとともに、その仕事を通じて、危機管理や災害時の復旧などにおいて、大きな力を発揮している事実を考察し、共同体崩壊後のこれからの時代の新たなコミュニティーづくりなどについて検討する。
事後学習
講義を振り返り、内容を整理するとともに、講義で紹介された関連する資料を渉猟するなどし、関心を深める。
90分

フィードバック
講義中に作成するリアクションペーパーをもとに、次回の講義の際には、講座を担当する(株)ロックビレッジの大屋優子さん、講座企画者の狩野がその内容を踏まえた振り返りを行う。
評価方法および評価の基準
次の到達目標に応じて、リアクションペーパーをもとに評価を行う。
指標はいかの4点とし、それぞれの到達目標ごとの割合に応じて集計し、最終評価を決定する。
・講話を通じて、人間の生き方、人生の切り拓き方についての思考を深めることができる。—全体の6割
・講話を聴講する学生同士で、意見を交流し、それぞれの意見に耳を傾け、自己の理解を更新することができる。—全体の3割
・講話を聞いた上で、リアクションペーパーを書き、自己の理解を日本語の文章として結晶化することができる。—全体の1割
指標
S—テーマを絞り、深く考察していることと判断される。
A—テーマを絞り、それなりに考察していることと判断される。
B—テーマが絞りきれずに、深く考察しようと努力していると判断される。
C—テーマが絞りきれずに、それなりに考察していることと判断される。
D—テーマも絞りきれず、考察が浅薄であると判断される。

教科書
推薦書・参考文献
大屋優子『余計なお世話いたします』集英社、2022年。「産育と教育の社会史」編集委員会『叢書・産育と教育の社会史』新評論、1983〜85年。田嶋一『「少年」と「青年」の近代日本 : 人間形成と教育の社会史』東京大学出版会、 2016年。中内俊夫他『叢書「産む・育てる・教える」 : 匿名の教育史』藤原書店、 1990〜1995年。

履修上の助言、教員からのメッセージ
総合科目です。複数の科目が開講される予定です。オリエンテーションで配布されるプリントやポータルサイトの共通教育ガイダンス資料、同ガイダンス動画などを参照し、理解したうえで受講して下さい。同じ科目であっても、サブタイトルが異なる場合、複数回の受講が認められます。詳しくは、学科の教務委員の先生や教務課(7号館2階)を尋ね、質問して下さい。第1回目の授業で、留意点等お話ししますので、初回から参加して下さい。