シラバス情報

科目名
食行動の心理学
担当教員名
藤巻 峻
ナンバリング
NAc4097
学科
2021年度 大学 人間生活学部 健康栄養学科 3年
学年
3年
開講期
2023年度後期
授業形態
講義
単位数
2.00単位

実務経験の有無
実務経験および科目との関連性

ねらい
①科目の性格
本科目は、健康栄養学科専門科目の食文化領域の「食の美学」に該当する科目である。
②科目の概要
食行動は生物にとって必須の行動の1つである。しかしヒトはそうした食行動を、生存のためだけではなく、生活を充実させるための1つの手段として、あるいは継承されていく文化の営みを構成する一要素として、受け止めてきた。本講義では、どのようにして食行動を科学的に取り扱うことができるのかを、心理学の立場から考える。
③授業の方法(ALを含む)
基本的には教科書「食行動の科学:「食べる」を読み解く」に基づいて進めていくが、教科書に載っていない話題も適宜紹介する。
教科書に書かれている内容を中心にグループで発表し、討議しながら、身に着けていくという方法を取る。
レポート/グループワーク/ディスカッション/プレゼンテーション
④到達目標
この授業を通して、食行動に対する様々な心理学的アプローチの基本的な枠組みを獲得することができる。またその枠組みを用いて、食行動に関する様々な現象の分析方法を知ることができる。そして広く、食行動の問題に対する心理学的な対処方法を理解することができる。
⑤ディプロマ・ポリシーとの関係(右の資質・能力を育成することを目的とする)
NA②-2 健康問題への論理的思考・行動/NA②-3 相互理解と自己表現/NA③-2 問題の把握、解決策の立案

第1回
事前学習
心理学とはどのような学問か、調べてまとめておくこと。
90分
授業内容
心理学という学問について概説し、食行動と心理学のつながりを学ぶ。
事後学習・次回事前学習
教科書第1章を読み、食行動研究に関する心理学的なアプローチを把握しておくこと。
180分
第2回
授業内容
第1章の内容を概観し、食行動に対する様々な心理学的アプローチを紹介する。
事後学習・次回事前学習
第2章「食行動と感覚・知覚」を読み、理解が難しかった点をまとめておくこと。
180分
第3回
授業内容
第2章の感覚・知覚の心理学に基づく食行動の研究を紹介する。
事後学習・次回事前学習
第3章「食行動と社会的認知」第4章「食行動の心身統合的理解」を読んで学習しておくこと。
180分
第4回
授業内容
第3章・4章の内容を概観し、食行動の生理的基礎と社会的要因が及ぼす影響について紹介する。
事後学習・次回事前学習
第5章「食行動の生涯にわたる変化」、第6章「食に関する理解の発達 」、第7章「高齢者の食」を読み、自分自身が経験した食行動の変化(例えば好みの変化や嫌いなものを克服したなど)をまとめておくこと。
180分
第5回
授業内容
第4章から6章の内容を概観し、発達に伴う食行動の変容を紹介する。
事後学習・次回事前学習
パブロフ型条件づけについて調べて学習し、自分自身の食べ物の好き嫌いを書き出してまとめておくこと。
180分
第6回
授業内容
パブロフ型条件づけについて紹介する。
事後学習・次回事前学習
授業内容をもとに、事前学習でまとめた食べ物の好き嫌いがどのように獲得されたものかを分析してみること。
180分
第7回
授業内容
条件づけを通じた食べ物の好き嫌いの学習について紹介する。
事後学習・次回事前学習
オペラント条件づけについて調べて学習し、自分が好きな飲食店や良く行くお店、あるいは頻繁に購入する食品(お菓子なども)をまとめておくこと。
180分
第8回
授業内容
オペラント条件づけについて紹介する。
事後学習・次回事前学習
授業内容をもとに、事前学習でまとめた好きなお店に行く・好きな食品を買う理由について分析してみること。
180分
第9回
授業内容
オペラント条件づけを通じた食行動の獲得・変容過程について紹介する。
事後学習・次回事前学習
第11章「食事療法による生活習慣病の予防」を読み、生活習慣病について基礎的な知識を身に着けておくこと。
180分
第10回
授業内容
生活習慣病予防のための食事指導の実際について紹介する。
事後学習・次回事前学習
第13章「肥満に関連する食行動と介入プログラム:過食と肥満」を読んで、肥満と生活習慣病について基礎的な知識を身に着けておくこと。
180分
第11回
授業内容
肥満につながる食行動を概説し、それらを防ぐための心理学的なアプローチのについて紹介する。
事後学習・次回事前学習
第12章「応用行動分析学:体重減量のプログラム」を読んで、行動療法に基づく体重減量プログラムについての基礎知識をつけておくこと。
180分
第12回
授業内容
体重減量(ダイエット)を成功させるために必要な要素について、行動分析学および行動療法を用いた実際の臨床事例を交えながら紹介する。
事後学習・次回事前学習
偏食と摂食障害について調べておくこと。
180分
第13回
授業内容
偏食と摂食障害について紹介し、実際の臨床事例を交えながら有効な心理学的介入法について紹介する。
事後学習・次回事前学習
糖尿病(特に2型)について調べて、基礎的な知識を身に着けておくこと。
180分
第14回
授業内容
2型の糖尿病について解説し、実際の臨床事例を交えながら有効な心理学的介入法について紹介する。
事後学習・次回事前学習
第14章「新たな食行動科学へ向けて:ビッグデータを用いた食行動の分析」を読み、理解が難しいところを挙げておく。
180分
第15回
授業内容
第14章を概観しつつ、どのような食行動の科学がありうるかを議論する。
事後学習
最終講義、並びにこれまでの講義から、自分にとって興味深く思えた食行動を取り上げ、いろいろな参考文献に当たりながら掘り下げておく。
90分

フィードバック
プレゼンテーションやディスカッションを通じて、学習した内容への理解が深まっているかなどをチェックし、適切な学びが獲得されるように助言する。
評価方法および評価の基準
食行動に対する様々な心理学的アプローチの基本的な枠組みを獲得することができる:グループワークによるプレゼンテーション(25%)
その枠組みを用いて、食行動に関する様々な現象の分析方法を知ることができる:グループワークによるプレゼンテーション(25%)
食行動の問題に対する心理学的な対処方法を理解することができる:レポート(50%)




教科書
書名
著者
出版社
ISBN
備考
食行動の科学: 「食べる」を読みとく (食と味嗅覚の人間科学)
今田 純雄 (編集), 和田 有史 (編集)
朝倉書店
978-4254106671
推薦書・参考文献
坂上貴之・井上雅彦著「行動分析学 -- 行動の科学的理解をめざして」有斐閣

履修上の助言、教員からのメッセージ
特に心理学の基礎知識を持っていることを前提とはいたしません。