シラバス情報

科目名
現代社会プロジェクト 1Bクラス
担当教員名
大友 由紀子
ナンバリング
SAc4002
学科
2020〜2023年度 大学 社情デザイン学部 社情デザイン学科 3年
学年
3年
開講期
2022年度前期
授業形態
演習
単位数
2単位

実務経験の有無
実務経験および科目との関連性

ねらい
①科目の性格
社会情報デザイン学科専⾨科⽬「企画構想ラボ」の「企画構想科目」3年次前期必修科⽬である。1・2年次の「デザイン思考入門」ならびに「企画構想ワークショップ」で修得した発想力・表現力・コミュニケーション力と協働力・企画構想力を活かし、実社会の課題と主体的に向き合う。3年次後期からの「演習・卒業研究」への導入科目である。
②科目の概要
社会調査や社会経済統計を使って⽣活者(個⼈や家族)の動向を把握する研究書を取り上げて輪読し、実証研究の⽅法を学習する。これによって、⾃らの研究関⼼を明らかにし、実証研究による卒業研究のテーマを探る。
③授業の方法(ALを含む)
グループワークによるプレゼンテーションと討議・討論によって授業を進める。
レポート/グループワーク/ディスカッション/プレゼンテーション
④到達目標
①社会調査のデータや社会経済統計から⽣活者(個⼈や家族)の動向を把握し、説明できる。②社会調査のデータや社会経済統計を分析して、⽂章で表現できる。③社会調査データや社会経済統計に対する洞察⼒を⾝につけ、課題発⾒と考察に積極的に取り組むことができる。
⑤ディプロマ・ポリシーとの関係(右の資質・能力を育成することを目的とする)
SA③-1 課題解決への実践力の修得/SA③-2 柔軟な思考力と発信力の獲得/SA③-3 連携・協働する力の獲得

内容
 人生100年時代の訪れとともに「キャリアオーナーシップ」という概念が注目され始めた。キャリアとは、長期にわたる職務経験やこれに伴う計画的な能力開発の連鎖を指すもので、「職業生涯」や「職務経験」などと訳される。「キャリアオーナーシップ」とは英語ではなく日本での造語で、経済産業省の定義によれば「個人一人ひとりが『自らのキャリアはどうありたいか、如何に自己実現したいか』を意識し、納得のいくキャリアを築くための行動をとっていくこと」である。戦後日本の経済成長を牽引してきた「男性片働きモデル」による日本型雇用は、年功序列と終身雇用が限界を迎え、個人はひとつの企業で勤め上げるのではなく、生涯にわたり個人のライフステージの各段階で活躍し続けることが求められる。
 2015年9月の国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)は17のゴール・169のターゲットから構成され、外務省仮訳によれば8番目のゴールは「包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する」とある。ここにある「ディーセント・ワーク」(decent work)とは、1999年の第87回ILO総会で初めて用いられた言葉で、ILO駐日事務所では「働きがいのある人間らしい仕事」と表現し、「権利が保障され、十分な収入を生み出し、適切な社会的保護が与えられる生産的な仕事を意味します。それはまた、全ての人が収入を得るのに十分な仕事があることです。」と説明していて、雇用労働だけを意味するものではない。
 「ディーセント・ワーク」の概念が日本で導入されたのは2012年7月の閣議決定「日本再生戦略」で、その実現が目標として盛り込まれた。2019年4月「働き方改革関連法」施行によって、時間外労働の上限規制、有給休暇の消化義務、高度プロフェッショナル制度、同一労働同一賃金の促進、衛生管理の強化が定められた。2020年からはコロナ禍でのリモートワーク推進が図られ、都市圏に居住・就業している人を中心に地方移住を検討する人や、ワーケーションの実施を検討する企業が増えている。
 女性のキャリアは、結婚、出産・育児、介護によって中断する傾向がある。もともとライフステージの移行に即して柔軟にキャリア形成してきた。女性の「キャリアオーナーシップ」と「ディーセント・ワーク」の促進にむけた取り組み事例より、その課題を検討する。
各授業回における授業外学習の内容・所要時間
【事前予習】授業時のプレゼンテーションにむけて準備する(各授業に対して90分)。
【事後学習】授業時のディスカッションの成果をレポートに整理する(各授業に対して90分)。

フィードバック
毎授業のプレゼンテーションとディスカッションにコメントし、学修理解を深められるよう対話する。また、プレゼンテーションとディスカッションの成果をレポートにまとめる際、記述内容にコメントや加筆修正を行い適宜指導する。
評価方法および評価の基準
①社会調査のデータや社会経済統計から⽣活者(個⼈や家族)の動向を把握し、説明できる(授業時の発表と討論20%、期末レポート10%)。②社会調査のデータや社会経済統計を分析して、⽂章で表現できる(授業時の発表と討論10%、期末レポート20%)。③社会調査データや社会経済統計に対する洞察⼒を⾝につけ、課題発⾒と考察に積極的に取り組むことができる(授業時の発表と討論20%、期末レポート20%)。授業時の発表と討論50%、期末レポート50%として、総合評価60/100点以上を合格とする。

教科書
推薦書・参考文献
厚生労働省「ディーセントワークと企業経営に関する調査研究事業報告書」(2012年3月)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudouseisaku/dl/decentwork.pdf
経済産業省「我が国産業における人材力強化に向けた研究会」報告書(2018年3月)
https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/data/pdf/20180319001_1.pdf
木村 篤信(2021)「リビングラボの可能性と日本における構造的課題」『高齢者を支える技術と社会的課題』81-97.
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_11656225_po_20200606.pdf?contentNo=1

履修上の助言、教員からのメッセージ
プレゼンテーション資料は、OneDriveの共有フォルダに事前にアップロードしておいてください。
連絡なく遅刻・⽋席すると、授業時のグループワークやプレゼンテーションが成り⽴たなくなるので、⾃覚をもって授業に臨んでください。
学期末レポートは、総合学習システムを使って期限までに提出してください。