シラバス情報

科目名
映像文化論
担当教員名
江藤 茂博
ナンバリング
EDi3073
学科
2021年度 大学 教育人文学部 文芸文化学科 日本語・日文コース 2年
学年
2年
開講期
2022年度後期
授業形態
講義
単位数
2.00単位

実務経験の有無
実務経験および科目との関連性

ねらい
①科目の性格
選択科目の領域であり、言語及び映像の物語に関して、それら表現としての対象化意識を高めるとともに、その解読方法の修得、及びその背景としての社会・文化の知識等に触れる。
②科目の概要
日本のアニメーションの歴史を、その他の表現の歴史と関連させながら、講義全体で通時的に解説する。そこでは、受講生のアニメーション表現を中心としたメディア文化史の知識を手に入れてもらう。また、そうした史的な解説及び進行のなかで、言語表現、映像表現による物語に対する具体的な分析を幾つか取り上げ、それと示すことで、受講生の物語解析力も養成する。
③授業の方法(ALを含む)
基本的には、講義とそれに重ねる資料の提示で行い、具体的な作品分析の前後にはリアクションペーパーで、受講生の理解を確認する場合がある。
リアクションペーパー/レポート
④到達目標
①日本アニメーション史に関する知識の修得
②言語及び映像表現を分析するスキルの修得
⑤ディプロマ・ポリシーとの関係(右の資質・能力を育成することを目的とする)
ED①-2 文学・芸術・文化に関する知識/KG①-2 芸術・文化に関する知識/KG①-3 芸術・文化の特性と歴史に関する知識

第1回
事前学習
①どの作品でもいいのでサイレント映画を観ておく。
②映像史の書物について(題名・内容等)調べる。
45分
授業内容
講義全体の内容を紹介する共に、物語表現で使う概念と方法について解説する。この回では、短編小説江國香織「デューク」を使って具体的に説明し、分析のスキルを身につけてもらうことを目的とする。
事後学習・次回事前学習
配布されたプリントの概念を確認し、それがほかの小説に応用できないか試してみる。
45分
第2回
授業内容
言語表現の物語分析と映像表現の物語分析の差異を示すために、小説の分析の概念と方法についての説明と理解を得られたならば、次に深海誠「ほしのこえ」を使って、映像の分析の概念と方法について説明する。
事後学習・次回事前学習
授業で取り上げた作品について調べる(観る・歴史的評価を調べる)。また、次回に取り上げる予定の作品について調べる。
45分
第3回
授業内容
小説の物語分析を例示しながら、時代性と表現についての考察の重要性について説明する。ここで使用するテクストは村上春樹「1973年のピンボール」とし、第一回、第二回の内容を前提としながら、表現をそれが受容された時代に置くことについての意味や意義を考えることとする。
事後学習・次回事前学習
授業で取り上げた小説を丁寧に読む、理解する。また、ノベライズ作品について、その存在と受容のありかた、入手方法などについて調べて置く。
第4回
授業内容
第三回の考察を続けると共に、補足的に、村上春樹原作小説とその映像表現を取り上げて、言語表現の映像表現化についての考察を提示する。併せて、小説の映像化、映画・ドラマのノベライズについて触れたいと考えている。
事後学習・次回事前学習
授業についての配布された文章・資料を読む。
45分
第5回
授業内容
具体的に作品としてまとめられた物語表現に対して、時代という大きな括りの物語表現が、どのように人々に共有されて、そこからどのような物語が生まれているのかを、ここでは日本の幕末という歴史に焦点を当てて考察する。
事後学習・次回事前学習
授業についての配布された文章・資料を読む。幕末を舞台とした歴史小説にどのようなものがあるのか調べる。図書館などで写真集を手に取ってみる。
45分
第6回
授業内容
19世紀から20世紀にかけての写真・映画などの歴史を概観し、その知識によって分析スキルのバックグランドを広げてもらいたと考えている。資料や映像を使って、ここではメディア文化の歴史的な展開を把握してもらう。
事後学習・次回事前学習
図書館等でメディアの歴史に関する書籍を読む。併せて、高校の教科書程度の近代日本の歴史(1868〜1945)を振り返る。
45分
第7回
授業内容
日本のメディア文化史の理解を前提として、アニメーションの歴史を概観する。この回では、アニメーションの出発と、日本の20世紀前半の戦時下でのアニメーション表現とその文化を考察する。
事後学習・次回事前学習
高校の教科書程度の近代及び現代日本の歴史(1868〜2020)を振り返る。
45分
第8回
授業内容
20世紀後半の日本のアニメーションの物語の発達・展開を、具体的な作品を紹介しながら、概観する。ここでは、特にメディア技術の発達と結びつけて、日本のアニメーションによる物語表現の特性について考察する。
事後学習・次回事前学習
1960年代〜70年代の日本のアニメの映像資料を視る。各自経験したジブリアニメに関する情報を調べる。
45分
第9回
授業内容
日本のアニメーションの物語表現の現在として、作品を紹介及び分析考察することで、講義当初の分析スキルと結びつけていく。取り上げる作品としては、ジブリ作品から新海誠作品、細田守作品など。
事後学習・次回事前学習
授業についての配布された文章・資料を読む。
45分
第10回
授業内容
これまで紹介してきた、物語に対する分析スキル、アニメーションを含めた映像表現の歴史、日本のアニメーションの現在を踏まえて、さらに補足的に日本の現代のアニメーション作品を取り上げて、分析スキルの応用と実践を提示したい。
事後学習・次回事前学習
各自、授業で取り上げた以外のアニメ作品の分析を試みる。小説「時をかける少女」を読む。
所要時間は記述内容を参照
第11回
授業内容
「時をかける少女」1として、筒井康隆の原作小説を紹介する。その発表誌も含めた1960年から70年にかけての日本文学史や出版メディア史の紹介も含めて、小説の物語世界を検討したいと考えている。
事後学習・次回事前学習
授業についての配布された「時をかける少女」に関する文章・資料を読む。
45分
第12回
授業内容
「時をかける少女」2として、テレビドラマ化から映画化まで、20世紀の「時をかける少女」の物語群を紹介し、そのメディア史を踏まえた分析と考察を加える。
事後学習・次回事前学習
20世紀後半のメディア文化史に関する書籍や資料を探し、各自で目を通す。
45分
第13回
授業内容
「時をかける少女」3として、アニメーション化、映画化等の、そのメディア史を踏まえた分析と考察を加える。21世紀の「時をかける少女」の物語群を紹介し、そのメディア史を踏まえた分析と考察を加える。
事後学習・次回事前学習
授業についての配布された文章・資料を読む。関連する映像情報・資料を探し、各自確認する。
45分
第14回
授業内容
「時をかける少女」補足として、漫画化された作品の紹介と分析を提示する。加えて、日本の漫画の歴史を紹介し、これまでの物語分析のスキルの応用可能性について言及する。
事後学習・次回事前学習
授業についての配布された文章・資料を読む。授業で取り上げた漫画以外の漫画作品を使って、その表現特性を考察する。
45分
第15回
授業内容
さまざまなテクストへの分析スキルの総まとめとして、映像作品「aboutlove」を取り上げて、その分析の論考を紹介し、各々分析スキルの確認と応用の可能性を手に入れてもらう。
事後学習
授業についての配布された文章・資料を読む。
45分

フィードバック
授業時に出された課題に関しては、授業内でコメントする。
評価方法および評価の基準
授業時に提示する課題(30%)とレポート(60%)及び授業での発言などの取り組み(10%)

教科書
推薦書・参考文献
江藤茂博『「時をかける少女」たち』2002年 彩流社
江藤茂博『読む流儀 小説・映画・アニメーション』 2020年 言視舎

履修上の助言、教員からのメッセージ
適宜プリント資料を配布します。予定の講義内容について、講義の進行上、簡略に済ませる場合もあります。