教員名 : 大和 洋子
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科目名
多文化保育論
担当教員名
大和 洋子
ナンバリング
EAb3018
学科
2021年度 大学 教育人文学部 幼児教育学科 3年
学年
3年
開講期
2022年度前期
授業形態
講義
単位数
2.00単位
実務経験の有無
無
実務経験および科目との関連性
無
ねらい
①科目の性格
幼児教育学科の「保育と教育」の卒業要件選択科目。近年日本において増えている、外国文化を背景にもつ家庭の子どもの保育を担当する際に気を付けるべきことを学ぶ。シラバスは予定であり、履修者のニーズや興味、あるいはその時話題になった子どもに関する時事問題を取り入れ臨機応変に対応する。
②科目の概要
日本の移民政策の歴史を追いながら、その変遷を学習し、近年の多文化の状況が起こっている背景を理解する。日本に住む外国人の中でも割合が多い、アジア諸地域の保育・幼児教育、南米からの移民の子どもに関して、共通点や違いを見つけ、その地域から日本に移住した家族が日本の就学前教育現場で体験するであろう問題、及びそのような子どもを受け入れた就学前施設側が直面するであろう困難点及び解決法について学び合う。
③授業の方法(ALを含む)
基本的に「講義」+「ペアワーク・ディスカッション」、映像がある場合には「映像」を鑑賞し、話し合いの時間を持つ。
リアクションペーパー/レポート/グループワーク/ディスカッション/プレゼンテーション
④到達目標
卒業後に教育現場に入ることを前提に、現場で直面するであろう多文化の背景を持つ子供の受け入れに関する知識を学ぶと同時に対処できる素地を作る。
⑤ディプロマ・ポリシーとの関係(右の資質・能力を育成することを目的とする)
EA②-1 子どもの人権尊重/EA③-3 社会的事象への関心/KA③-5 問題意識、解決に取り組む姿勢
第1回
事前学習
2020年から始まったCOVID-19 禍でどんなところにしわ寄せが最も来ていたか、特に子どもを中心に身近な例を見つけて考える。
45分
授業内容
オリエンテーション:自己紹介/他己紹介。授業参加初皆で日本人とは、文化とは何かを考える。
2020年度のCOVID-19 禍で大変だったことを出し合う。当事者意識 ⇒ 身近な問題として、身の回り、特に子どもを取り巻く環境を考える。 事後学習・次回事前学習
授業で話し合ったことを自分で振り返り、問題の所在を確認し、何ができたか・何がこれからできるかを考えてまとめる。
何が差別を生む要素になっているかを考えておく。 180分
第2回
授業内容
背景知識のレクチャー 及び 記録ドキュメンタリ—映像『青い目、茶色い目』を鑑賞。なぜ多文化共生の授業が必要なのかを考える。
事後学習・次回事前学習
子どもが差別意識を身に付ける過程をドキュメンタリー映画と関連させてまとめ、保育・教育に関わる身として何に気を付けたらいいかをまとめる。
日本の近現代史(1900年代以降)をおさらいしておく。 180分
第3回
授業内容
日本の移民政策の歴史:移民送り出しの歴史、労働者としての移民受け入れ政策(レクチャー)
事後学習・次回事前学習
年代と共にどのような人が移民として渡航し、どのような人たちがどのような理由で来日しているのかを中心にレクチャーを振り返りながら、日本の移民政策略歴を自分でまとめる。
自分のこれまでの学校生活の中で、何か思い当たることはなかったか、振り返る。 180分
第4回
授業内容
日本在住の外国出自の人々:オールドカマーとニューカマー(レックチャー)
事後学習・次回事前学習
オールドカマー、ニューカマーとは何か、レクチャーを振り返りながら自分で調べてまとめる。
180分
第5回
授業内容
アジアの就学前教育① 中国・台湾 (記録映像鑑賞) 彼らが日本の園や学校に入ったら…?
事後学習・次回事前学習
記録映像からわかったことをまとめる。彼らの立場に立って、日本の園に入って困ると思うことを考えてみる。
なぜ同じアジアなのに違いが出るのか考えてみる。 180分
第6回
授業内容
アジアの就学前教育② 韓国・日本 (記録映像鑑賞) 日本の園とどこがどう違う? 背景を考えてみる。
事後学習・次回事前学習
記録映像から、日本を含めたアジアの4か国で、何がどう違い、その違いはどこから出てくるのかを考えてみる。
特徴を列挙しておく。 180分
第7回
授業内容
就学前教育の国際比較:2つの伝統的就学前教育について知る。
世界の大きな流れの中で、今、どのような保育・就学前教育が評価され、世界の共通認識になっているかを知る。 事後学習・次回事前学習
2つの伝統的な就学前教育をまとめる。
なぜそうなったのかを考えてみる。 日本の保育・就学前教育には他国と比較してどんな特徴があるのかまとめてみる。 180分
第8回
授業内容
世界の就学前教育と多文化① カナダ(多文化主義国家) について知る。(レクチャー)
事後学習・次回事前学習
カナダの多文化主義の特徴について、授業での配布資料を基に自分でまとめてみる。
ヨーロッパについて、基本情報を自分で調べておく。 180分
第9回
授業内容
世界の就学前教育と多文化② オーストラリア(多文化主義国家) について知る。(レクチャー)
+ 映画『裸足の1500マイル』を鑑賞する。 事後学習・次回事前学習
オーストラリアの歴史を自分でまとめてみる。
ヨーロッパの地図と近代史をおさらいしておく。 180分
第10回
授業内容
世界の就学前教育と多文化③ ヨーロッパの移民難民受け入れの狭間(ドイツ・フランス) について知る。(レクチャー)
記録映像『小さな哲学者たち』を鑑賞 事後学習・次回事前学習
世界の近代史と時事問題:ヨーロッパの移民・難民受け入れに関する歪を自分なりにまとめておく。
180分
第11回
授業内容
就学前教育と多文化共生:宗教と食の問題:指導者と指摘を付けなければならない事(レクチャー)
事後学習・次回事前学習
レクチャーの資料を基に、自分で理解できたことをまとめておく。
日本の年間行事について、調べておく 180分
第12回
授業内容
就学前教育と言葉の問題:日本語が母語ではない子ども、日本人だが日本語が第一言語ではない子ども(レクチャー)
事後学習・次回事前学習
外国に出自がある子ども、両親・親が外国人である子どもとの連絡手段・意思疎通はどのようにしたらいいのか、まとめておく。
180分
第13回
授業内容
今日本で起きている事:指導者として何ができるか 日本の年間行事を例に、ディスカッション
事後学習・次回事前学習
自分の考えをまとめておく
ミニ・プレゼンの準備をする 180分
第14回
授業内容
ミニプレゼンテーション
日本の行事に関して、各自(履修者の人数によって、個人発表、ペア発表あるいはグループにするか臨機応変に対応します)発表、ピアレビュー 事後学習・次回事前学習
お互いの発表から得たことをまとめておく。
180分
第15回
授業内容
まとめ・総復習:多文化と「共生」の意味を再確認。これまでの授業の総復習。
事後学習
半期で学んだことを基に、レポート作成の準備をする。
180分
フィードバック
毎回授業の後に、出席確認及びリフレクション記入用のシートを配布。授業後にリフレクションを記入し提出。コメントを付けて翌週配布を繰り返すことにより、毎時間学生と教師とのやり取りの記録を付ける。学生の発表時には、フィードバックを次回の授業で戻す。
評価方法および評価の基準
授業中のプレゼン及びディスカッションの参加度・貢献度(40%)、課題レポ—ト(60%)を総合的に判断して総合評価60%以上を合格とする。毎回の振り返り(リフレクションシートへの書き込み)から、多文化保育に必要な知識が定着しているかを確認する。
教科書
推薦書・参考文献
推薦書
泉千勢・一見真理子・汐見稔幸編著『世界の幼児教育・保育改革と学力』明石書店(2009年第2刷) ISBN: 978-4-7503-2789-1 咲間まり子編『多文化保育・教育論』(株)みらい(2014年) ISBN: 978-4-86015-319-9 近藤敦著『多文化共生と人権:諸外国の「移民」と日本の「外国人」』明石書店(2019) ISBN: 978-4-7503-4805-6 泉千勢編著『なぜ世界の幼児教育・保育を学ぶのかー子供の豊かな育ちを保証するために』ミネルヴア書房(2017) ISBN: 978-4-623-07855-4 参考図書 OECD編著 星三和子・須藤美香子・大和洋子・一見真理子約『OECD保育白書—人生の始まりこそ力強く:乳幼児期の教育とケア(ECEC)の国際比較』明石書店(2019年第4版)ISBN: 974-4-7503-3365-6 履修上の助言、教員からのメッセージ
資料は授業でお渡しします。2020年度から2年間にわたりCOVID-19 の影響で学びの環境が大きく変わりました。大学生もそうですが、小さい子どもは甚大な影響を受けています。学びは授業中だけではなく、皆さんの日々の生活の中にあります。こんなことがあった、こういう時はどうしたらいいか、と常に疑問を持って日常生活からの学びを大切にして下さい。そしてそんな疑問や発見を是非授業で扱えるようにリフレクションシートを通してでも結構ですので、皆で共有していきましょう。
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